医療法人社団悠翔会様
スタッフ
夜間コールを依頼された背景について教えてください。どんなことに課題や悩みを感じていらっしゃいましたでしょうか。
佐々木先生
悠翔会在宅クリニックを開設後、約6年ほど夜間コールは24時間365日、私が一人で対応していました。当時に私が感じていた課題は2つあります。
1. 緊急性のない夜間コール対応が発生すること
2. 夜間対応を標準化するのが難しいこと
1.緊急性のない夜間オンコール対応が発生すること
夜間の電話において、必ずしも医師がその時点で対応しなければならないことばかりではありませんでした。例えば、「来週の火曜日は、何時に来てくれるのか」、「この前処方箋で、この薬がなかった」等といった問い合わせも夜間に発生しますが、そういった問い合わせは昼間の営業時間内でも良いのではないかと感じますし、受電件数が増えると、当然それが負担になっていました。
2.夜間対応を標準化することが難しいこと
一人で対応していた背景としては、夜間対応をする医師の対応に差があったことに起因しています。診療の評価は積み重ねていくものですが、夜間に電話をしてこられる患者さんやその家族は当然不安があるからこそ、夜間に電話をしてこられます。その中で、納得いかない電話対応をしてしまうとこれまで積み重ねてきた信頼は一瞬で壊れてしまうことになります。夜間帯においてもきちんと対応してもらえる、という信頼を勝ち得るために、私一人で対応してきた経緯があります。それでも当然限界が来たため、夜間の対応を標準化し、その他の医師と対応できる体制を築いてきましたが、標準化していく難しさを感じました。
そうした経緯があり、まずはコールセンターに依頼することで緊急性のあるケースのみ医師が対応できる体制を作っていきたいと感じました。
スタッフ
患者さんからはどうでしょうか。
佐々木先生
患者さんからの不安については、まず確実に繋がることでの安心を持ってもらえていると思います。直接医師につながらないことについて、私自身は手間が増えてしまっているなと考えていたのですが、決してそうではなく、夜間のトラブルにおいて医師も患者さんも冷静でいられない中、Okitell365のオペレーターが間に入り丁寧に対応してくださるので、安心感を持っていただけるかと思います。医師に夜間連絡すること自体も患者さんや施設のスタッフさんからすると負担でもあると思うので、間にひと手間あることが今となっては価値があるのではないかと考えるようになりました。
スタッフ
その他の効果があれば教えてください。
佐々木先生
Okitell365にお願いすることで、夜間のコール数や往診件数等について、定量的に報告を受ける中で、夜間対応についてモニタリングすることが出来ました。そこで、なるべく夜間緊急対応が発生しないように、スタッフと考える機会を得られたことが良かったです。実際に数字で件数などを見ていくことで、スタッフ自身にも課題意識が芽生えたかと思います。
私自身が一人で対応していた時は、800人程の管理患者数で約10回電話が鳴り、そのうち2~3件往診する事が平均的でした。そこから、対応件数が増えていないか考える様にしています。患者さんにとっては夜間来てもらえることは安心ですが、何より夜間不測の事態が起こらないようにすることが真のニーズだと思います。夜中や週末に不安な状況をつくらないことがもっと大事なので日頃のケアを見直すきっかけをいただけて良かったなと思っています。
スタッフ
悠翔会の皆さんがOkitell365の初めてのご利用者だったので、これまでさまざまな利用シーンがあると思いますが、何か印象に残ることはありますか。
佐々木先生
今回Okitell365の皆さんと夜間の体制を一緒に作らせていただいた経験から、東京都のコロナ対応でもバックアップしていただいたのが印象的ですね。非常に社会的意義のある活動をご一緒できて良かったと思っています。特に急な体制整備が必要でしたが、これまでの連携体制があったので非常にスムーズに進めることができたと思います。コロナの対応においては現場のニーズに柔軟に対応できるコールセンターはとても心強くて、これから先も災害やパンデミックが生じた時に、この経験を活かして対応できる体制を備えておきたいと思います。自治体自身が一からコールセンターを設ける事もあると思うのですが、やはり有事はスピードが大事だと思うので、こうした経験のあるコールセンターで有事の際に備えておく体制を作れたらと思います。
もう一つ、コロナ禍での学びとしては、在宅医療は慢性期と終末期の患者のフォローが中心ではありましたが、第5波で経験した在宅医療は、急性期の患者をフォローする在宅医療なんですよね。コロナ肺炎になって、入院できるか回復できるか見定めながら、最短2日から最長2週間の自宅療養を支援する。こういう在宅医療は、我々には経験がなかったけれど、こういうのをバックアップする機能がとても大事なんだなと思いました。慢性期の患者さんは電話をかけてくるといっても年に平均すると2~3回です。
一方で急性期の患者さんは2週間のうちに2~3回、この人達の方が医療依存度が高い。そしてこれまでの在宅医療を利用される患者さんはどちらかと言うと医療よりもケアが中心でしたが、急性期にある患者さんのニーズはケアというより医療ですよね。イギリスやフランスで在宅医療と言っているのは、急性期、周術期、周産期でもあるのですが、日本においてもコロナ禍でそうした対応ができるんだという実績になったと思います。悠翔会では、今後、急性期の在宅医療にも注力していきたいと考えているので、こうした新しいフィールドを一緒に開拓していけると良いなと思っています。
スタッフ
ありがとうございます。コロナ禍での対応は大変ではありましたが、悠翔会の先生方も私たちのサポートをしていただいたので、安心して新しい取り組みに取り組めました。最後に、Okitell365を利用されようか考えてる方にメッセージをお願いします。
佐々木先生
在宅医療を提供する機関で、ある程度の規模感を持つ法人は夜間体制を独自で持っておられるところが多いと思います。規模が大きくなると夜間対応は主治医のみがするのではなくて、チームで対応していくのだと思います。昼と夜のチームを分けて対応を考えているところが多いと思いますが、Okitell365は日中も営業してくださっているので、そうした夜間と日中のチームを24時間365日繋いでくださる安心感もあると思います。
実際に、悠翔会では夜間オンコールだけでなく、日中に事務員が不在のクリニックの電話を受けていただいたりもしています。夜の対応の安心感があるので、スタッフも受け入れやすく、助かっています。
また在宅医療ではたくさん書類が発生しますが、そうした書類業務もお願いできるところがありがたいです。こういった診療外の業務で医者や看護師でなくてもできることをお願いすることで、医療職が診療に専念できる環境をつくれ、そして日中のケアの質を最大限高めることができていると思います。診療にしっかりエネルギーや時間をかけられることが実際に使ってみるとよく分かるので、ご検討の方はぜひ一度Okitell365さんにお願いしてみてはどうでしょうか。
スタッフ
ありがとうございます。在宅医療を提供する医療職の皆さんが診療に専念できる環境づくりをしっかりお手伝いしていきたいと思います。
本日は貴重なお時間をありがとうございました。